“麩(ふ)”の最古の用例

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延長五(927)年完成の『延喜式』に見られる“麩”が、麪筋(グルテン)ではなく麩(ふすま)を意味することから、“麩(ふ)”の最古の用例は、やはり中世法隆寺の日記文書『斑鳩嘉元記』に残る正平七(1352)年壬辰五月十日条、「三肴立毛、タカンナ(篁=筍)・ウトム(饂飩)・フ(麩)・サウメン(素麵)・一折敷・数六・粽・ムキ(麦)粽一杯・アメ(飴)一杯・ワリコ(破り籠)・ヒワ(枇杷)一フサ・白瓜少々・ハイ(盃)少々。」という記述に落ち着くようです。

これに次ぐ記録としては、それから一世紀近く降る文安元(1444)年に成立した、『下学集』という辞書の「飮食門第十二」に見られる“麩(フ)”という記述となります。この辞書を「いろは」順に再編した『饅頭屋本節用集』という辞書にも同様の記述が見られるようですが、語義についての解説を欠いている模様です。

麪筋(グルテン)の麩(ふ)についての語義解説を含む記述は、更に二世紀半ほど降る元禄十(1697)年刊行の『本朝食鑑』が最古の史料となりますが、それに先立つ貞享三(1686)年刊行の、黒川道祐著になる山城国の地誌にして、京都案内の書でもある『雍州府志』の「土産門巻六」に、“京麩”の語が見られるのも注目されます。
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by KYO-FU-TA | 2014-09-21 12:32 | 歴史と由緒