2014年 11月 26日
『聖訓』
今般、当家に代々伝わって来た“家訓”ともいえる『聖訓』について、知己で古文書調査を専門としている方に解読と翻刻を依頼した結果、以下のような記述内容であることが判明しました。
尚、文案は当店の初代主人であった松屋太兵衛-隠居名は麩屋太郎兵衛-(1782-1856)によるものと思われ、揮毫は“梅泉山人”を別号とした京都の絵師、白井華陽(c.1780-1836)によるものです。
【原文ママ】
聖 訓
一汝能事務盤其細目尓至る迄
精密に檢査せ与
一凡て敏捷尓動く遍し
一充分考慮を廻ら寿遍し 而し
て成案を得たる上盤猶豫な
具斷行勢与
一手強く困難に耐ゆること越
要須
一人生競爭場裡尓於て須羅く
勇敢なる遍し
一神聖那るもの遠して汝能潔
白を保川遍し
一業務尓於て絶對嘘言阿るこ
登勿礼
一無用の交際を為須事勿禮
一汝能人物を實際以上に装ふ
遍可ら寿
一負債盤迅速尓始末須遍し
一強き酒を避け与 身を失ふと知礼
一汝能事盤汝の時越用い与
一何人尓應接するも叮嚀那類
べし
一僥倖を當尓勢須確實なる事ニ當れ
一進む遍支時は宣しく大膽那
礼
一斯くして勉免て怠ら左礼者
必寿汝大成須遍し
梅泉山人書
【現代字書下し】
聖 訓
一汝の事務は其細目に至る迄
精密に検査せよ
一凡て敏捷に動くべし
一充分考慮を廻らすべし 而し
て成案を得たる上は猶予な
く断行せよ
一手強く困難に耐ゆることを
要す
一人生競争場裡に於て須らく
勇敢なるべし
一神聖なるものをして汝の潔
白を保つべし
一業務に於て絶対嘘言あるこ
と勿れ
一無用の交際を為す事勿れ
一汝の人物を実際以上に装ふ
べからず
一負債は迅速に始末すべし
一強き酒を避けよ 身を失ふと知れ
一汝の事は汝の時を用いよ
一何人に応接するも丁寧なる
べし
一僥倖を当(て)にせず確実なる事に当れ
一進むべき時は宣しく大胆な
れ
一斯くして勉めて怠らざれば
必ず汝大成すべし
梅泉山人書
長年に亘り、額装で生家の鴨居に掛けられていたものの、近年になって傷みが目立って来たので、五年程前に巻子に改めました。
by KYO-FU-TA
| 2014-11-26 15:30
| 歴史と由緒